第89話でクルーガーはグリシャに対し、民族が背負ってきた真の秘密を明かし、エルディアとマーレの対立構造や巨人の力について説いていきました。
なぜ、クルーガーは過去にいながら未来の知り得ない記憶を合わせ持ち、あたかも歴史が巡り巡っているような、意志があればやり直せるようなメッセージを送ったのでしょうか?
ここでは、進撃の巨人 ループ説の確定を裏付けるための2つの検証について紹介していきます。
1.進撃の巨人のループ説の根拠「第89話」に関する2つの見方
まずはじめに、進撃の巨人のループ説の根拠「第89話」に関する2つの見方について説明します。
この物語はループ説に基づいて進行しているとの見方が主流ですが、その根拠は第89話の告白に基づくとされています。
①「エルディアもマーレも巨人の力を兵器として利用してきた」という第89話の告白
「始祖の巨人がマーレに渡れば収容区のエルディア人は用済みになる。大陸だろうが島だろうがエルディア人は終わり」
…と言った彼の言葉から、現在までエルディア人は単なる巨人の材料としてのみ活かされていることがわかりました。
マーレが始祖の巨人を持っていれば、無垢の巨人を兵器として操ることができるため、今後はエルディア人を巨人化させて島に放つ手間も必要性もなくなるということです。
クルーガーは、同時にこうも言っていました。
「古来よりエルディアは無垢の巨人を『安価な破壊兵器』として利用した」
つまり、2つの民族は過去から現在にかけて、立場を変えて全く同じことをやっているということになります。
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しかも、かつてのエルディア人が兵器として利用していた無垢の巨人は、マーレ人であった可能性があり、時を経て民族は互いに相手を無垢の巨人化させて戦うという、終わりのない業を背負っていたとも考えられるのです。
②第89話でクルーガーが未来の記憶を代弁し「ミカサやアルミンを助けたいなら」と言った
クルーガーは、「壁の中で人を愛せ」と諭し、さもないと同じ歴史、同じ過ちを再び繰り返すと忠告します。
その直後に、ミカサ・アルミンというまだ存在すら知らない2人の名を挙げ、彼らを救いたければ行動せよと促しますが、自分の言っていることが誰の記憶によるものか自覚できていない様子が見られました。
ユミルの民は始祖の巨人を介し、時も場所も超えて記憶が繋がった状態にあり、未来の2人を知る者の意識がクルーガーに伝わり、代弁したのです。
2.進撃の巨人「ループ説の信ぴょう性」を測るクルーガーのセリフ2つの意味
クルーガーの告白には、グリシャですら即座に理解できない謎が多く含まれていました。
いったい、進撃の巨人「ループ説の信ぴょう性」を測るクルーガーのセリフ2つの意味とは、どういったものなのでしょうか?
①クルーガーが「人を愛せ、でなければ過ちを繰り返す」と言った真の意味を読み解く
「壁の中に侵入したら、人を愛せ、さもないと同じ歴史、同じ過ちを再び繰り返す」という謎のセリフについて、分解し読み解いてみます。
「壁の中で人を愛せ」
・壁の外では人は愛されていない
・民族同士の憎しみあいがある
「同じ歴史、同じ過ちを繰り返す」
・民族に優劣が付けられたり、戦い奪い合ったり、優位に立つために巨人の力を利用したりしてきた
「ミカサとアルミンを救いたいなら」
・特に名前を挙げていることから、民族の運命を左右する2人を守れというメッセージになる
「使命を全うしろ」
・壁の中で始祖の巨人を奪え
・戦うことを止めた壁の王から始祖の巨人を取り返しエルディア滅亡を阻止せよ
このように、メッセージ一つ一つの意味を考えていくと、いかにも別の歴史が存在し、2つの民族双方が巨人の力を何度も奪い合い、殺戮を繰り返してきたのだということがわかります。
ユミルの民は、意識が時を超えて繋がっているため、未来の誰かがクルーガーの意識を借りて忠告を行っていると考えるのが自然です。
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それを若き日のグリシャに伝えたのは、彼を起点として様々な未来の分岐があり得るからだと捉えるのが妥当です。
②エルディア人は本当に「虐げられた罪のない民族なのか」を検証する
ユミルの民に伝わる始祖の巨人の力や第89話の告白から、両民族は互いに、巨人の力を使った兵器で相手を支配してきたことがわかります。
クルーガーは「エルディア滅亡を防げ」と託しましたが、真の意味での「過ちを繰り返さない」は、巨人という特殊な力で滅ぼし合わないことにあるのです。
未だ真偽は判明していませんが、エルディア人は巨人の力を利用して1700年間に渡る民族浄化を推し進めており、マーレの財産を奪い血統消滅を図ってきたとされています。
つまり、現在マーレによりエルディア人が虐げられ収容所生活を強いているように、かつては全く逆の立場で弾圧と不当な扱いを行っていた可能性があります。
そう考えれば、クルーガーの言葉に従って始祖の巨人を奪うこともまた、エルディア人が再び同じ罪を繰り返してしまう原因となり得るため、「誰が始祖の巨人を手に入れ、どう利用するのか」がとても重要になってくるのです。
3.まとめ
ループ説の根拠と言われる第89話の伏線は、未だ回収されていません。
現状では民族同士が戦わなければいけない流れになっていますが、愛する人と平和な生活を送りたいのは、両民族にとって同じことです。
事実、ユミルやライナー、ベルトルト達も、エルディア人であるエレンやミカサ、アルミン達と一時は良好な関係を築くことができていました。
もちろん、彼らには「マーレの使命を果たすため壁内に侵入している」という前提がありましたが、それでも心が通い合うのを実感しあっていたはずです。
両民族が共存の道を探り、互いを尊重し合って生きていく上で巨人の力を利用することが、ループ説を本当に回収するエンディングになるのです。